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企業が高齢者を雇用したり、その処遇を改善することでもらえる助成金があります。
高年齢者・高齢者の雇用に関する助成金の条件などをわかりやすく一挙にまとめました。
高齢者の雇用に関する助成金は大きく分けて2つ、「特定求職者雇用開発助成金」と、「65歳超雇用推進助成金」です。
そして、図にあるように「特定求職者雇用開発助成金」には2つのコースが、「65歳超雇用推進助成金」には3つのコースが、高齢者雇用に関するものになります。
新たに高齢者を従業員として雇い入れる場合や、すでに雇用している高齢者の処遇改善などが助成金の主な対象事項です。
全体像をざっくり掴んだところで、2つの助成金をそれぞれ詳しく見てみましょう。
まずはじめに、助成金を受け取るためには満たしておくべき共通の要件というものがあります。
これは、高齢者雇用だけにかかわらずどの雇用関係助成金にしても共通のものになりますので、必ずチェックしてみたしておきましょう。
加えて、助成金関連を調べると必ずでてくる企業規模に関してもここで知識を習得しておきましょう。
下記1~3のすべてを満たしている必要があります。
(1)支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
(2)支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
(3)管轄労働局等の実地調査を受け入れること など
下記1~7にひとつでも該当していたら助成金の受給ができません。
※ 原則、雇用保険被保険者数が0人の場合や、事業所が廃止されている場合等を指します
助成金は受給できる額が中小企業か、それ以外かで、企業規模によってかわります。
ここでは、中小企業の定義をチェックしてご自身の企業が中小企業にあたるかどうか確認しておきましょう。
資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数(※) | ||
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | |
卸売 | 1億円以下 | 100人以下 | |
その他の業種100人以下 | 1億円以下 | 100人以下 |
※常時雇用する労働者の数とは、二ヶ月を超えて使用される者(実態として二ヶ月を超えて使用されている者のほか、それ以外の者であっても雇用期間の定めのない者および二ヶ月を超える雇用期間の定めのあるものを含む。)であり、かつ、週当たりの所定労働時間が当該事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等である者をいいます。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigy ounushi/career.html
最初の全体像で解説したように、「特定求職者雇用開発助成金」の高齢者雇用に関する助成金は2つのコースがあります。
どちらも共通しているのは、「新たに高齢者を雇用する」といった行為に対して助成されるコースであるということです。
そして大きな違いは、新たに雇い入れる高齢者の年齢が65歳未満か65歳以上か、という点です。
ではそれぞれのコースの要件と助成額をくわしくみていきましょう。
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。
特定就職困難者コースの主な支給要件は2つです。
※1の紹介事業者は、具体的には次の機関が該当します
[1]公共職業安定所(ハローワーク)
[2]地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
[3]適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
⇒こちらの厚生労働省職業安定局のページから、全国の民間事業者を検索できます。
※2 対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。
対象労働者 |
支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 | |
短時間労働者以外の者 | 高年齢者(60歳以上65歳未満) | 60万円 (50万円) |
1年 (1年) |
30万円 × 2期 (25万円 × 2期) |
短時間労働者(※) | 高年齢者(60歳以上65歳未満) | 40万円 (30万円) |
1年 (1年) |
20万円 × 2期 (15万円 × 2期) |
注;( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
(※)「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。
生涯現役コースの主な支給要件は2つです。
※1の紹介事業者は、具体的には次の機関が該当します
[1]公共職業安定所(ハローワーク)
[2]地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
[3]適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
⇒こちらの厚生労働省職業安定局のページから、全国の民間事業者を検索できます。
対象労働者 |
支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期ごとの支給額 |
短時間労働者以外の者 | 70万円 (60万円) |
1年 (1年) |
35万円 × 2期 (30万円 × 2期) |
短時間労働者(※) | 50万円 (40万円) |
1年 (1年) |
25万円 × 2期 (20万円 × 2期) |
注;( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
(※)「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。
次に、65歳超雇用推進助成金について解説します。
この助成金は、生涯現役社会実現のために、高齢者の雇用推進を図るためのものです。
3つのコースで構成され、高齢労働者のための雇用環境の整備を行った事業主に対する助成金です。
順番にみていきましょう。
①65歳以上への定年の引き上げ、②定年制度の廃止、③66歳以上の継続雇用制度の導入、この3つのうちいずれかを実施した事業主に対する助成制度です。
1事業主1回限りの支給です。
主な支給要件はこちら
【高年齢者雇用管理に関する措置】
(a)職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
(b)作業施設・方法の改善
(c)健康管理、安全衛生の配慮
(d)職域の拡大
(e)知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善
(f)賃金体系の見直し
(g)勤務時間制度の弾力化
①65歳以上への定年の引き上げ、②定年制度の廃止を行った場合
|
措置内容 | ||||
60歳以上 |
① | ② | |||
65歳まで引上げ | 66歳以上に引上げ | 定年の定めの廃止 | |||
(5歳未満) | (5歳) | (5歳未満) | (5歳) | ||
1~2人 | 10万円 | 15万円 | 15万円 | 20万円 | 20万円 |
3~9人
|
25万円 | 100万円 | 30万円 | 120万円 | 120万円 |
10人以上 | 30万円 | 150万円 | 35万円 | 160万円 | 160万円 |
③希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入を行った場合
|
措置内容 | |||
③ | ||||
66~69歳まで | 70歳以上 | |||
60歳以上 |
(4歳未満) | (4歳) | (5歳未満) | (5歳以上) |
1~2人 | 5万円 | 10万円 | 10万円 | 15万円 |
3~9人
|
15万円 | 60万円 | 20万円 | 80万円 |
10人以上 | 20万円 | 80万円 | 25万円 | 100万円 |
高齢者の雇用環境を整備するための措置を計画→計画の認定→実施をした場合に費用が助成されます。
対象となる措置はこちら。
高年齢者の就労機会の拡大が可能となる機械設備、作業方法、作業環境の導入又は改善など
職務に応じた賃金・能力評価制度、短時間勤務制度などの導入・改善、法定外の健康管理制度の導入など
主な支給要件はこちら
※短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除きます。
支給額は、①・②のいずれの場合も下記1か2のどちらか少ない額が助成額となります。
< >内は生産性要件を満たした事業主に適用される数値です。
※1 「②. 高年齢者の雇用管理制度の整備」について、1企業につき初めの1回に限り、当該措置の実施に30万円の経費を要したものとみなして算定します(2回目以降は実費で算定)。
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。
主な要件はこちら
※実施時期が明示され、かつ有期契約労働者として平成25年4月1日以降に締結された契約に係る期間が通算5年以内の者を無期雇用労働者に転換するものに限ります。
※無期雇用転換日において64歳以上の者はこの助成金の対象労働者になりません。
※通常勤務をした日数が11日未満の月は除きます。
労働者1人につき下記金額が助成されます。
1適用事業所、1年度あたり、10人が上限です。
< >内は生産性要件を満たした事業主に適用される数値。
中小企業 | 中小企業以外 |
48万円<60万円> | 38万円<48万円> |
高齢者の雇用に関する助成金をまとめました。
大きくわけて2つの助成金があります。
新たに雇用した場合に2コース、雇用環境の整備で3コースあります。
新たな雇入れでは最大70万円、雇用環境の整備では最大1000万円の助成金が受け取れる場合もあることがわかりましたね。
高齢者を雇い入れることは長年の経験で培った技術や知識を若年層に受け継ぐことができるという一面もあります。
必要な要件や、条件も他の助成金と比べてわかりやすく、申請のハードルが低いです。
まずは助成金の専門家に相談して貴社が受け取れる最大額を確認してみてはいかがでしょうか。
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